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これまでのプロジェクト
​2.ミオシンIIと上皮細胞の形態形成
           (渡邊,西村)
 

ミオシンIIはアクチン繊維上を動くモータータンパク質です。

筋肉におけるミオシンIIが筋収縮を起こすことは詳細に調べられています。非筋細胞でもさまざまな現象に ミオシン IIが関わることがわかってきていますが、非筋細胞では筋肉と異なりミオシンIIは必要に応じて局所的に重合して繊維を形成したり、脱重合したり、大変ダイナミックな挙動 を示すことが知られています。

 

このような挙動がどのように制御されているのかについては十分な解析が進んでいません。また、多細胞生物の基本的な細胞である上皮細胞のお互いの 接着やそれにともなう形態形成にミオシンIIが関与することは信じられていますが、その機構についてはほとんどわかっていません。

 

ミオシンIIは2本の重鎖と4本の軽鎖 (2本の調節軽鎖と2本の必須軽鎖を含む)からなり、調節軽鎖のリン酸化がその重合を促進し、モーター活性を上昇させることが生化学的解析から知られています。

 

私たちは GFPミオシンIIやその変異体を用いて細胞内のミオシンIIのダイナミクスとリン酸化との関係を解析しています。また、上皮細胞の細胞接着装置、特にアドヘレンス・ジャンクション (adherens junction, AJ)の形成において、ミオシンIIによる収縮力が重要な働きをすることを明らかにしました。そしてさらにミオシンIIの力がどのようにAJの構成要素の集積に 繋がるかを分子レベルで解析することを始めています。


 

  上皮細胞のシート中の細胞が死んだ時、周りの細胞の死んだ細胞に面した側にアクチンとミオシンIIとを含む、purse stringと呼ばれる繊維状の構造が出現し、その収縮 が死んだ細胞を排除し、傷口を塞ぐというwound closureという現象に重要な働きをすることが知られています。

 

従来、wound closureの研究には細胞シートを引っ掻いて傷を付け、 その後数十分から数時間以上にわたる細胞の移動を見るという方法が取られていました。この方法では、細胞シートの端は往々にしてまくれ上がったり、強い引っぱりの力を受け結果的 に死んだりすることがあり、細胞の殺傷直後の変化を見ることは大変難しかったのです。

 

私たちはレーザー光で上皮シート中の特定の細胞を狙って殺傷する方法を用いて、GFPミオシンII が数分以内に集積してくることを見いだしました。この系を用いて、隣接した細胞の死をどのような仕組みで察知するのかを解析しつつあります。

ミオシンⅡの図2.jpg
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