
PROJECT #1
漢字検定準1級に挑戦してみた
漢字検定 とは
日本漢字能力検定のこと。準1級は、大学・一般程度
といわれ、対象漢字数は常用漢字を含めて約3000字。合格基準は200点満点の8割以上であること。合格率は20%程度。対策なくして合格なし。漢検準1級以上はかなり骨太な試験内容なのである。

ゲームソフトを購入

テレビ番組の平成教育学院で漢字の問題が出る。
それも全く答えの見当もつかないようなのが出る。
どうやら漢字検定なるものがあるようだ。
ということで一度ちょっと勉強してみようと考えた。
はじめに
きっとそういうのはゲームソフトのようなものがあるよね、と、お店を覗いたらやっぱりDSのソフトがあり中古の物を購入。
もちろん、高校卒業程度ということだから、大体は忘れていたことを思い出すようなものであり、合格しても当たり前である。
どうやらその先がちと難しいようだ。
その先は準1級、1級となる。

このソフトでも訓練できるのだが、検定問題はあくまで簡易版しかない。
おそらく収容すべき感じの量などが一挙に増えるのでその内容を盛り込んだり、試験問題の作成、正誤の判定などが、手ごろな価格ではできなくなるので、簡易版ですませているのだろう。
確かに練習問題の種類は限られており、ある程度訓練すると、皆覚えてしまう。
テキストを購入

それで、本屋に行ってた。
何かテキストのようなものがあるだろう。
確かにいろいろあった。
まず、右のもの(完全征服)を購入。
それを見て、DSソフトでは本来知るべき量の1割以下しか勉強できないことがすぐに明らかになった。
2009年の正月。本格的に勉強に取り組むことにした。
今年受験するならば6月21日ということになる。
半年もあるし、勉強の期間は十分なはずである。
もちろん、高校卒業程度の2級ではなく、準1級をターゲットにする。
その後は1級というのがあるのだが、準1級が約3000字を扱うのに対し、1級は6000字となる。
準1級でかなり使用頻度の低い字を扱う事がわかったので、おそらく1級では見た事もないような字が3000字も増えることに近いだろう。
これは、漢字マニアがやるべきことだな。
私には、それを勉強する時間が惜しいので、準1級のみをターゲットとすることにした。
仮に準1級に合格したとしても1級の勉強をすることはないということだ。


いやあまったく、
最初の頃は、分かる漢字のほうが圧倒的に少ない状態だった。
とにかく問題を繰り返し解いて、すぐに覚えるもの、何回やってもなかなか覚えられないものを分け、自分にとって覚えるのが困難なものを自覚して覚えていく。
この段階では一日2-4ページ問題を解いては答えを見て覚えるようにする。
読みはともかく、書き取りの方は誤ったものに関し、何度も書いて記憶を心がける。
一通りが終わったら、復習をしていく。
通勤時間にテキストを見て何度も問題を解いていく。
1月に初めて、5月頃には復習のみをやる状態になった。
通勤時間と言ってもまるで別の本を読むこともあるし、仕事関連の文献を読む事もある。
朝は寝ている事もある。だいたい帰りのバスで座れなかったときに漢検の勉強をした。
それから平均して週に数日はテキストそのものを勉強した。
まるで分からないものを記憶するのは結構大変で、漢字の勉強はせいぜい1時間半程度しか集中力が続かない。この手のものはとにかく反復だ。
もう一度やればやはり記憶できていなものがかなりあることがわかる。
全て覚えるまで繰り返すことになる。
ページ数も結構あるので全体の復習にも時間がかかる。

漢検不正疑惑…
ところがそんなことをしているうちに、
なんと漢検とは検定関連の事業で大儲けをしていて、
さらにその儲けが理事たちの懐に入るような仕組みができているというような報道がなされた。
私が受験して、大金持ちの理事たちにさらに小遣いをやるのも癪なのだが、
とにかく予定通り受験はすることにした。
何度も検定料を取られるのは自分に対してもなおさら癪に障るだろうから一度で決めたい!
ということで、ネットのほうから受験申し込みを行った。受験料は4500円だったろうか。
しかし、受験料も必要以上に高いという批判を受けていたためか、500円の返金が後ほど送られてきた。(注)2020年現在の受験料は準一級4500円。
とにかく、何度も受験する気にはとてもならない。

これが受験票
平成21年の5月であることを思わせるのが、新型インフルエンザの流行に伴うご案内というやつだ。
試験日の頃にはすっかり緊急性は認められなくなっていて、マスクをしている人は全くいなかった。

検定会場が市営地下鉄の学園都市駅前の神戸市外国語大学である。
過去問をやってみる


さて6月に入ると、いわゆる過去問をやってみて実力を確かめておく必要性を感じた。
それで、先にあげた左の方の試験問題集を購入した。
実際の試験と同じ形式のものだそうだ。
試験をやる前に頻出の読み、書きなどがまとめられているので、まずそれに目を通すが、少なからずショックを受ける。
最初のテキストでは全く登場してこなかった読み書きが、最重要の中に散見されるのだ。
漢検が「完全征服」と銘打って出版しているテキストでもまるで「完全」ではないわけだ。まぁ、完全征服をやっておけば、合格はできるということだろう。
この級では80%、すなわち200点中160点で合格だが、まぁ160点は取れるということだろう。
200点取りたければたくさんのテキストをやらねばならなくなる。
「完全征服」を本当に完全に征服していなければ160に達しないのかもしれない。
とにかく知識量を増やすためにこちらも頑張って取り組む。
これらのテストは試験2週間前に開始した。
20回もテストがあるからなかなかの量だ。60分が制限時間だが、たいてい35分くらいで終えた。
平均すれば160点を越えていたが、明らかに150点台であったことが2~3回あったから、本番でそれにあたると落ちる事もありえるという実力だ。

左が勉強に使用した紙。
たいていは、折れ曲がって印刷に適さなくなった紙や、仕事で不要になった紙である。
万年筆を愛用している。
やはりたくさん書くには、ボールペンよりずっとよく、鉛筆より軽くて明瞭な字となるのが気に入っている。
高校から大学院まで万年筆を愛用していたが、久しく使っていなかった。また愛用のものもいつの間にか紛失してしまっていた。
昨年購入する機会があり、今回たっぷり使わせてもらった。
試験本番!

さて!
いよいよ検定。6月21日だ。
学園都市駅のはす向かいに神戸市外国語大学がある。

単科大学ということなのだろう。
こじんまりとしたキャンパスに見えた。

検定会場の前。
子どもが多いし、20代に見える人もかなりいた。時々中高年がいる。
準1級もなぜか、6級か8級と同じ教室で受験した。
準1級受験者の男女比はほとんど1:1のように見えた。
漢字マニアの中高年が多いのかと想像していたが、20代と思しき人がかなりいる。
試験などはさすがに20年以上受けていないので、ある種のなつかしさがある。
だいたい合格率が1~2割という試験らしいが、誰もみなきちんと答えを書いているように見えた。
準備不足で初めから諦めているような人や、意外な難しさで頭を抱えている人もいなかった。
まぁ、みんな大人なのでそんな正直なリアクションが出ていないということだろうか。
宇件前後の人の様子からは、落ちる人がいることが信じられないほど、みなさん冷静な感じだった。


問題はこんな感じ。
やはり35分くらいで一応書いたが、見直しと、よく分からなかったところをうんうん考えて、残り10分くらいになって一応、記入した答えを問題の方に書き写す。
この試験問題で、初めてみるような言葉もやはりいくつも出ていた。
ここは焦っても仕方がない。それでもわかるところを確実に答えれば160点にはなると信じて書き込んでいく。

そんな感じで検定が終了する。
結果が送られてくるのはなんと40日後くらいになるらしい。
その前には模範解答が送られるらしいのだが、模範解答を見て不合格が明らかなら
その後の結果が送られてくるまでとにかく気分が悪いので模範解答などは無視する。
結果発表!


さて!
7月20日頃、つまり試験から1か月後に結果が届いた。
大きな封書だから、これは賞状だよねと思って、余裕をもって開封。
やはり合格である。
179点自体は満足であるが、まるっきり分からないものもいくつかあるので自慢できるほどではない。
平均点はどうやら120点も無いようだから合格率が低いのも間違いないということなのだろう。
8割を取る必要があるのに、なぜ実力6割の人が受験してくるのかは私には謎である。
まぁ、そういう人がたくさんいるので漢検が儲かるという構図を作って来たのだろう。

これが合格率である。
準1級、1級の合格率が飛びぬけて低いのがわかる。また、準1級と1級とはレベルが格段に違うと私は思う。

なんだか
合格の証明書なんかもついてくる。
これは、ある種の資格として通用する場合があるということなのだろう。
というようなことで
合格して一応肩の荷が下りた。
1級はもともと受ける気がないから、漢字ともおさらばだな。
ただ、今回多少やりこんだこともあって、漢字の成り立ちなどを考えながら字を思い出すことが多くなった。
明らかに学生の時には考えなかったことである。
素直な記憶力はなくなってきているのだろうが、理解する面白みは年を経るに従ってます事があるようだ。