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現在のプロジェクト
​2.αカテニンのアクチン結合性の調節機構とその意義

現在のプロジェクト1で述べたビンキュリン結合の張力感受性に関係するものの、少し違う性質を知ろうとしています。

張力感受性を持つということはα-カテニンが引っ張られるからでありますが、 そのN末ではカドヘリン-カテニン複合体を形成しますので、隣接する細胞から引っ張られます。

一方、C末はアクチン繊維結合能があり、細胞内のアクチン繊維に引っ張られると考えられます。 α-カテニンはカドヘリン-カテニン複合体を形成しているときは、生化学的にはアクチン繊維結合能が見られず、精製された単体ではアクチン繊維に結合することが報告されており、 それからすると少なくともα-カテニンのアクチン繊維結合能は何らかの制御を受けていると考えられます。

しかし、細胞内ではAJに張力感受性を示す、すなわち、 カドヘリン-カテニン複合体内の引っ張られうるα-カテニンが存在していることも明らかです。ということは細胞内でも状況によりアクチン繊維結合能は上がったり下がったりしているように思われます

 

  別の観点から考えますと、AJが力を伝えて形態形成を行うような時はAJ間の結合も、AJとアクチン繊維との結合も安定して強固であることが望ましいのですが、 上皮細胞シート内の細胞が緩く結合は保ちつつ、大規模に配置換えを行うような時は、AJ間やAJとアクチン繊維との結合が安定して強固だとかえって、邪魔になるように思われます。

 

また、カドヘリンが小胞に含まれる形で細胞内に取り込まれリサイクルするような時も、カドヘリン-カテニン複合体に強固にアクチン繊維が結合していると円滑に小胞の輸送や融合が起きに くいように思われます。

 

 以上のことから、アクチン繊維とα-カテニンとの結合の制御の仕組みも重要でおもしろいテーマだと考えられ、精力的に取り組んでいるところです。

私は、α-カテニンとアクチン繊維との結合は自転車のギアとチェーンの関係の様に、一方方向に力をかける時には噛み合い、しっかり結合するが、力がかからない、あるいは異なる方向に力がかかる時 には噛み合ず、結合が見られない、などの仕組みもあるのではないか、と想像しています(Yonemura 2011-a, Yonemura 2011-b)。


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