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4.上皮細胞における隣接する細胞の生死を認識する機構
上皮シート内の細胞が死ぬとその細胞は押し出され、同時にその場所が周囲の細胞によって塞がれ、 上皮シートのバリア機能の破綻が最短の時間になるように損傷修復が行われます。その際には死細胞を取り巻いている生細胞の死細胞に面した側にのみ、ミオシンIIの集積が見られます。
そのミオシンIIはAJに結合したアクチン繊維と相互作用し、ミオシンIIの動きがAJを引っ張ることになります。ちょうど死細胞を取り巻いてアクトミオシンが断続的に形成され、 それがAJによって繋がり一つの環を形成することになります。アクトミオシンの収縮によりその環は小さくなり、それが損傷修復を助けます。
これがとても面白いのは、 生細胞は隣の細胞が生きているか死んでいるかを素早く判断し、死んでいる細胞側にミオシンIIを集積させるということです。
確かに、生きている細胞の周囲にミオシンIIを集積させ、 生きている細胞を追い出してしまってはまずいし、そのようなことは起きません。上皮シートが健全に維持され、いざ破綻が起きれば、最速で修復を行う、 その仕組みがここにあるはずです。最も肝心なのは、物質として何を感知して生と死とを見分けるのかということです。
最近、これが重要だ、と報告をしている研究者もいるのですが、 追試もできないので、私は必ずしも全面的には信じていません。しかしながら、それでは何なのか、というとなかなか突破口が開けない、そのようなテーマです。
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