35. Cortical actin organization: lessons from ERM (ezrin/radixin/moesin) proteins.
Tsukita, Sa., Yonemura, S.
J. Biol. Chem. 274:34507-34510. (1999)
(ERMの総説)
34. Activation of ERM proteins in vivo by Rho involves phosphatidylinositol 4-phosphate 5-kinase and not ROCK kinases.
Matsui, T., Yonemura, S., Tsukita, Sh., Tsukita, Sa.
Curr. Biol. 9:1259-1262. (1999)
28の論文の解釈を訂正し、さらに真実に近づいた論文。Rhoの活性とERMのC末のリン酸化とERMの活性化は関係するが、リン酸化が活性化の原因ではなく、Rho活性の下に生成されるPIP2との結合が活性化であり、活性化したERMは未同定のキナーゼによるリン酸化を受け易くなり、リン酸化すると活性化状態が安定化する、という全体像が明らかになりました。)
33. Clostridium perfringens enterotoxin fragment removes specific claudins from tight junction strands: evidence for direct involvement of claudins in tight junction barrier.
Sonoda, N., Furuse, M., Sasaki, H., Yonemura, S., Katahira, J., Horiguchi, Y., Tsukita, Sh.
J. Cell Biol. 147:195-204. (1999)
(当時九州大学の大学院生だった園田さんの研究。CPEという細菌毒素がclaudin4というTJの膜タンパクに結合してそれを除去してしまうためにTJのバリア機能が落ちてしまうことを示しています。ここでclaudin4の染色にTCA固定が最適であったので使われています。)
32.Direct involvement of ezrin/radixin/moesin (ERM)-binding membrane proteins in the organization of microvilli in collaboration with activated ERM proteins.
Yonemura, S., Tsukita, Sa., Tsukita, Sh.
J. Cell Biol. 145:1497-1509.(1999)
(ERMタンパクと特定の膜タンパクとの結合の仕組みを29では研究しましたが、ここではその結合の意味を解析しました。ERMは微絨毛においてアクチン繊維の束と細胞膜とを連結する役割が明瞭ですが、ERM結合性の膜タンパクを過剰発現すると、ERMと結合する足場が増えると考えられ、微絨毛が伸長することがわかりました。すなわち、ERM結合膜タンパクも微絨毛形成に関わる役者の一人ということになります。)
31. Differential behavior of E-cadherin and occludin in their colocalization with ZO-1 during the establishment of epithelial cell polarity.
Ando-Akatsuka, Y., Yonemura, S., Itoh, M., Furuse, M., Tsukita, Sh.
J. Cell Physiol. 179:115-125.(1999)
(私がかつて19で示した研究をさらにTJのコンポーネントoccludinも使って詳しくAJ, TJの形成過程を追ったものです。)
30. Immunoflurorescence detection of ezrin/radixin/moesin (ERM) proteins with their carboxyl-terminal threonine phosphorylated in cultured cells and tissues: Application of a novel fixation protocol using trichloroacetic acid (TCA) as a fixative.
Hayashi, K., Yonemura, S., Matsui, T., Tsukita, Sa., Tsukita, Sh.
J. Cell Sci. 112:1149-1158. (1999)
(TCAを含ませた固定はもともと組織化学において切片を作るための組織片の固さの調節のために行われていたようです。トリクロロ酢酸ということで、酢酸よりも酸性が強く強酸です。タンパクに対しては強力な変性剤として生化学において酵素反応の停止やタンパクの定量的な沈殿、回収にも使われています。タンパクに対してはアルデヒドのように化学結合を作るわけでもなく、有機溶媒(アルコールやアセトン)のように脱水のみでタンパクを変性させるわけでもない。水溶液なのに、タンパクから結合水を追い出すことで変性させる(しかも有機溶媒よりも遥かに強力な変性)というものです。そのためTCAはタンパクを完全に変性させたり、あるいは抗体のエピトープの特別な部分を露出させることも期待され、ある種の抗体染色には特に有効かと考えられ、当時大学院の林さんとこの研究を行いました。ERMタンパクのC末のリン酸化を認識する抗体は得ていたのですが、細胞染色には使えませんでした。それがこのTCA固定によって染色できることがわかりました。おそらくアルデヒドはエピトープと抗体との結合を邪魔するようです。一方、有機溶媒は本来エピトープと抗体との結合を邪魔しないのですが、固定後PBSにサンプルを置換すると、有機溶媒処理では残存してしまうフォスファターゼ活性によってERMが脱リン酸化してしまうために染色できないことがわかりました。この後に、TCA固定の有用な場面がさらにあることがわかりました。)
29. Ezrin/Radixin/Moesin (ERM) proteins bind to a positively charged amino acid cluster in the juxta-membrane cytoplasmic domains of CD44, CD43, and ICAM-2.
Yonemura, S., Hirao, M., Doi, Y., Takahashi, N., Kondo, T., Tsukita, Sa., Tsukita, Sh.
J. Cell Biol. 140: 885-895. (1998)
(ERMタンパクが特定の膜タンパク(その細胞質領域に特に正電荷のアミノ酸が多い部分を持つとき)に結合するという話。今にして構造生物学的に考えれば、正電荷が多い部分というのはアバウトすぎて信用できない。いくつかの重要な相互作用に正電荷が関係はしていたのだろう。当時は構造生物学と自分との距離がありすぎて、その方向から考えることはできず、自分のできる実験だけをやっていました。)
28. Rho-kinase phosphorylates COOH-terminal threonines of Ezrin/Radixin/Moesin(ERM) proteins and regulates their head-to-tail association.
Matsui, T., Maeda, M., Doi, Y., Yonemura, S., Amano, M., Kaibuchi, K., Tsukita, Sa., Tsukita, Sh.
J. Cell Biol. 140: 647-657.(1998)
(当時大学院生の松井さんによる研究。ERMタンパクがRho-kinaseによってリン酸化され、活性化するというストーリー。)
27. ERM(ezrin/radixin/moesin) family: from cytoskeleton to signal transduction. Curr. Opin.
Tsukita, S., Yonemura, S.
Curr Opin Cell Biol. 9:70-75.(1997)
(同じ年の総説、総説の依頼の話がある時はある意味で当然かもしれませんが、重なることがままあります。)
26. ERM proteins: head-to-tail regulation of actin-plasma membrane interaction.
Tsukita, Sa., Yonemura, S., Tsukita, Sh.
Trends Biochem. Sci. (TIBS). 22:53-58.(1997)
(月田早智子さんによる総説)
25. ERM(Ezrin/Radixin/Moesin)-based molecular mechanism of microvillar breakdown at an early stage of apoptosis.
Kondo, T., Takeuchi, K., Doi, Y., Yonemura, S., Nagata, S., Tsukita, Sh., Tsukita, Sa.
J. Cell Biol. 139:749-758.(1997)
(名古屋大の大学院生だった近藤さんによるERMタンパクとアポトーシスとの関連を示す論文。)
24. Regulation mechanism of ERM(ezrin/radixin/moesin) protein/plasma membrane association: Possible involvement of phospatidylinositol turnover and Rho-dependent signaling pathway.
Hirao, M., Sato, N., Kondo, T., Yonemura, S., Monden, M., Sasaki, T., Takai, Y., Tsukita, Sh., Tsukita, Sa.
(当時阪大の大学院生だった平尾さんの研究。ERMタンパクと膜タンパクとの結合の制御にPIP2が関与する内容です。)
23. Interspecies diversity of the occludin sequence: cDNA cloning of human, mouse, dog, and rat-kangaroo homologues.
Ando-Akatsuka, Y., Saitou, M., Hirase, T., Kishi, M., Sakakibara, A., Itoh, M., Yonemura, S., Furuse, M., Tsukita, Sh.
J. Cell Biol. 133:43-47.(1996)
(研究室内でTJ研究が広がってきました。もともとoccludinはニワトリからクローニングされたので、ぜひともマウスからも取りたかったのですが、抗体がクロスしないし、DNA配列でもうまく釣れませんでした。哺乳類の中でも初期の性質を持つと思われる有袋類の細胞PtK2ではニワトリに対するoccludin抗体がきちんとTJを染めるということを私が見いだし、大学院生の赤塚さんは、有袋類(ラットカンガルー)のoccludin遺伝子を取ることができました。実際にはその先も簡単ではなく、偶然に他の遺伝子の研究の過程で哺乳類のoccludinがとられていることがわかり、研究室内で一挙にヒト、マウス、イヌからもoccludinが取られました。)
22. Kid, a novel kinesin-like DNA binding protein, is localized to chromosomes and the mitotic spindle.
Tokai, N., Fujimoto-Nishiyama, A., Toyoshima, Y., Yonemura, S., Tsukita, Sh., Inoue, J., Yamamoto, T.